コニカ株式会社
  
地球温暖化防止や廃棄物削減に有効な技術開発を進めていきたいと考えています
常務取締役
小板橋 洸夫さん
全事業分野で同一の基準を適用
―コニカの特徴を聞かせてください。
小板橋 当社の名前を聞いた時、最初に浮かぶのはカメラの会社というイメージだと思います。しかし、現在では業態が大分変化して、単独の売上では複写機やプリンターの部門が一番大きく、また収益力の面ではDVDやCDのピックアップレンズが世界で70%近いシェアを占めているので寄与度が大きくなっています。事業構成比は感光材料・感材機器が56%、情報機器が26%、カメラ・光学部門が18%となっており、今後は特にデジタル&ネットワークの領域に注力していく方向で中期計画を策定しています。

―化学に最も近い部門は?
小板橋 全領域が化学に関係していると言えますね。フィルムは化学の粋を集めたものですし、複写機のトナーも化学製品です。当社はいろいろな業界で事業展開を行っていますが、特に複写機の業界は環境問題においてトップを走っています。その基準を全ての事業分野に適用して環境活動を推進しているのが、当社の一つの特徴だと思います。
  

ISO14001の認証取得により環境管理活動がレベルアップ
―レスポンシブル・ケア活動を始めたのはいつ頃ですか。
小板橋 JRCC発足当初から当時社長だった米山が監事を務めていることもあり、積極的に活動してきたと自負しています。コニカグループでは国内外の全生産事業所でISO14001の認証を取得することを基本方針としており、その仕組を活用することで環境管理活動が一段とレベルアップしました。この取り組みは研究開発やその他の部門でも進められ、物流や写真現像関連会社は業界で初めて認証を取得しています。また、社長を最高責任者とするレスポンシブル・ケア委員会を設置したことにより、特に予算措置を必要とする環境・安全面の整備がスムーズに進展するようになったと思います。

―レスポンシブル・ケアがコストアップに繋がるということはありませんでしたか。
小板橋 ほとんどなかったと思います。当社が最も重視しているのは、環境・安全活動は倫理面ももちろんですが、企業の経済活動の一環として不可欠なものだということです。1999年には環境会計を本格的に導入し、必要な施策を推進しています。

―具体的な活動内容は?
小板橋 化学物質安全管理委員会を設置し、新規物質の安全性評価や有害物質の削減・不使用に取り組んでいます。また、LCAの見地から製品アセスメントを実施し、開発から廃棄まで責任を持って管理する活動を行っています。これらに関する社内基準は法令等の規制値よりかなり厳しくなっていますが、価格や性能面でマイナスに作用しないように技術開発にも力を入れています。
  
リスクコミュニケーションは以前から実践
―廃棄物削減については如何ですか。
小板橋 お金を払って処理業者に引き取ってもらうものを極力減らし、その上でゼロエミッションを実現するための施策を講ずるという形を取っています。現時点で達成しているのは関連会社1社だけですが、来年春までには更に増えると思います。またリサイクル・リユースについても環境賞の表彰式の場などで事業所間の情報交換を行い、グループ全体で連携して進めています。

―レスポンシブル・ケアでは社会とのコミュニケーションも重要な活動とされていますが……。
小板橋 当社で一番大きな工場が東京都内の住宅地にあることから、リスクコミュニケーションも含めた地域の方々との対話は、レスポンシブル・ケア以前から積極的に行ってきました。また環境報告書やホームページにおいて、グループ全体の活動内容や数値データを分かり易く説明するための努力を続けています。事業所単位の報告書を発行しているのは今のところ小田原工場だけですが、順次他の工場でも発行していく予定です。

―PRTR法への対応は?
小板橋 対象となる化学物質について優先順位を決めて、具体的な施策を実行しています。化学物質安全管理委員会を3ヶ月に1回開催し、調査結果や進捗状況のチェックを徹底して行っています。順調に進んでいますが、これからは来年春の公表後に向けた住民への説明についても検討していかなければならないでしょうね。
  
業界全体で技術面の連携を
―今後の目標を聞かせてください。
小板橋 地球温暖化防止については、炭酸ガスの排出量を2010年までに90年比6%削減ということになっています。かなり長期間の取り組みになるので、実行する各部署では実感がわきにくい面もあると思います。もちろん達成することは当然ですが、そのためにはどのような投資が必要で、どれだけのリターンが得られるかということを計算し、効率的な対策を講じていくことが重要だと思っています。廃棄物の削減においては、ゼロエミッションを達成するために一番問題となるのは化学物質の取り扱いです。これらに関して有効な技術開発を進め、社会全体に寄与できればと考えています。

―JRCCに対する要望はありますか。
小板橋 化学物質を専門的に取り扱うという性格上、環境問題において当業界に課された責務は他産業より大きいと思います。それぞれの企業が努力することはもちろんですが、JRCCには化学技術戦略推進機構などと協力して、業界全体で技術面の連携を強化していっていただきたいと思いますね。
   
 
   
 
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