化学業界は日本経団連環境自主行動計画に基づき、2010年度までにエネルギー原単位を1990年度の90%にすることを目標にしています。
 右の図はJRCC会員90社のデータをまとめたものです。エネルギー原単位は1990年以降、年々徐々に改善されてきていました。2001年度のエネルギー原単位は2000年度に比べ生産量減(生産指数6ポイント減)により、1ポイント悪化しました。
 また、2001年度の生産指数は1990年度対比で15%増加しましたが、エネルギー原単位の改善により、CO2 排出量は同8.6%増に止まっています。
(エネルギー原単位は、製造に要したエネルギーを生産数量で除するという考え方を基本にしています。生産指数は、エネルギー原単位が改善されなかったと仮定した場合の各年度のエネルギー使用量を求めて1990年度と対比させたものです。)
エネルギー原単位指数、生産指数の推移と見通し
 エネルギー使用量、CO2 排出量は1990年対比では増加していますが、JRCC設立後の1997年度以降は横ばい、ないしは微減傾向にあります。会員各社の一層の低減努力が望まれます。
 なお、セメント生産に係る燃料使用量は、日本経団連の自主行動計画でセメント協会がまとめることになり、今年の集計より1990年に溯り削除したため、昨年の報告書よりエネルギー使用量、CO2 排出量が少なくなっています。
〈CO2 排出量増加の要因分析〉
 1990年度に比べエネルギー原単位は8%改善したにもかかわらず、1990年に比べて2001年度のCO2 排出量は、8.6%増加しました。その要因を分析すると下記のようになります。
生産拡大による増加分 15.1%  
JRCC会員の省エネ努力 −5.2%  
購入電力の原単位向上分  −1.3%  
CO2 排出量変化 8.6% (増加)
エネルギー使用量(原油換算)
〔参考〕 1997年12月開催の「気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)」において各国の温室効果ガス(二酸化炭素・亜酸化窒素・メタン・ハイドロフルオロカーボン・パーフルオロカーボン・六フッ化硫黄)排出削減量が決められました。わが国は2008〜2012年の平均値で1990年度比6%削減することになりました。
その後、2002年3月に京都議定書批准に向けて「地球温暖化対策推進大綱」が閣議決定され、国全体で1990年度比排出量6%削減を達成するために、部門(産業、運輸、民生)ごとに目標が掲げられています。産業部門は既にかなりの排出削減努力を重ねていますが、国内CO2総排出量の約40%を占めているため、今後更なる排出削減が求められるものと思われます。2002年5月末、京都議定書批准案が原案どおり国会で可決成立。同時に改正地球温暖化対策推進法(略称)が公布・施行され、京都議定書目標達成に向けて実質的に動き出しました。
CO2排出量
 
省エネルギー対策の実績
 大多数のJRCC会員が参加している日化協の「環境保全に関する省エネルギーの自主行動計画」のフォローアップのまとめによると、2001年度に行なわれた省エネ対策の実施例は、下記のグラフのように示されます。その合計の原油換算削減量(年間ベース)は268千KLとなっています。           

その他の温暖化対策への取り組み
(1)民生・運輸部門への貢献
  • 太陽光発電システム(瓦一体化、屋根材一体化)の更なる普及により、再生可能エネルギーへの転換を拡大。なお新規住宅用断熱材により更に原油換算1万KL/年の削減を計画。
  • グリーンタイヤ用カップリング剤・ カーボンブラックの開発、軽量タイヤ用/グリーンタイヤ用合成ゴムの開発による燃費の改善。(従来品に比べ、グリーンタイヤの燃費は5〜6%良好)
  • 弱冷房でも快適に過ごせる吸汗性、速乾性に優れて、ドライ感、清涼感を与える衣料素材や、糸を中空にすることにより多くの空気を抱え込み、冬の寒さにも低暖房で過ごせる衣料素材の提供。
(2)CO2 以外の温室効果ガス対策
  HFC等の温室効果ガスについて色々な削減対策を行なっています。
  • 代替物質の開発。
  • 使用業界と協同で回収ガスの再利用や、再利用不可能なガスの破壊処理技術の開発と実施。
  • 製造プラントからの漏洩を削減するため、プラントの密閉化・設備点検の強化。充填ラインの専用化。
  • 容器の大型化及び返却ボンベの残存ガスの回収。

海外事業における取り組み
 海外での事業の展開には、当該国の「環境・安全・健康」に関する法律や基準を遵守するのはもちろん、わが国の最新の省エネルギー技術、プロセス技術、高効率機器の移転に努めています。
  
  
 
  
 
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