第V篇 川下使用者
第37条
川下使用者の化学物質安全性評価およびリスク軽減措置の特定、適用、推奨義務
- 川下使用者または流通業者は、登録の作成の助けとなる情報を提供することができる。
- いかなる川下使用者も、物質そのものまたは混合物に含まれる物質の用途・取扱/使用を特定されたものとすることを目的として、最低限の簡潔で一般的な記述として書面で(紙面または電子的手段により)、これらの物質を供給する製造者、輸入者、川下使用者または流通業者に対し、それらの物質の用途・取扱/使用を知らせる権利を有する。用途・取扱/使用を知らせる際には、いかなる川下使用者(A)も、物質を供給した製造者、輸入者または別の川下使用者(B)が、川下使用者自身(A)の用途・取扱/使用に関する曝露シナリオ(曝露想定)または必要に応じて用途・取扱/使用の区分および曝露区分を、彼ら(B)の化学物質安全性評価内に作成するように、彼ら(B)に十分な情報を提供しなければならない。
- そのような情報は、流通業者によって、商流川上側の次に位置する関係者(商流川上直接関係者)または流通業者に渡せられなければならない。情報を受領した川下使用者は、その情報において特定された用途・取扱/使用のための曝露想定をあらたに作成してもよいし、その情報をそのまま商流川上直接関係者に渡してもよい。
- 登録物質については、製造者、輸入者または川下使用者は、本条の第2項に記す要請が供給の少なくとも1ヶ月前になされる場合には、要請を行う川
下使用者に対し物質そのものまたは混合物に含まれる物質を次に供給する前かまたは要請後1ヶ月以内かのどちらか遅い方までに、第14条に定める義務を履行しなければならない。
- 段階的導入物質については、川下使用者が期限の少なくとも12ヶ月前に要請を行う場合には、製造者、輸入者または川下使用者は、第23 条に関連する期限が切れるまでに、要請および第14条に定める義務を履行しなければならない。
- 第14条に従って用途・取扱/使用を評価した製造者、輸入者または川下使用者が、人の健康または環境保護に関する理由で、それを特 定された用途・取扱/使用として含めることができない場合には、化学品庁および川下使用者に対し、その決定の理由を書面で遅滞なく提出するものとし、第31条または第32条に基づき記される情報にこれらの理由を含まない限り、川下使用者に当該物質を供給してはならない。製造者または輸入者は、第22
条(1)(d)に基づく登録の更新にあたり、附属書VIの3.7節にその用途・取扱/使用を含めなければならない。
- 物質そのものまたは混合物に含まれる物質の川下使用者は、安全性データシートで通知された曝露シナリオまたは必要に応じて用途・取扱/使用区分、および、暴露区分に記述する条件以外のあらゆる用途・取扱/使用に関して、または供給者が勧めない用途・取扱/使用について、附属書XIIに基づいて、化学物質安全性報告書を作成しなければならない。
- 以下のいずれかの場合には、川下使用者は化学物質安全性報告書を作成する必要がない場合:
- 第31条に基づき、物質または混合物についての安全性データシートを通知する必要がない場合;
- 第14 条に基づいて、供給者により化学物質安全性報告書が作成される必要がない場合;
- 川下使用者が、年間1 トン未満の総量でその物質または混合物を使用している場合;
- 川下使用者が、安全性データシートで通知された曝露シナリオに記述される条件を最低限含んだ曝露シナリオを履行または推奨する場合;
- 混合物中に含まれる物質の濃度が、第14 条(2)に定める濃度のいずれよりも下回る濃度で存在している場合;
- 川下使用者が、製品およびプロセスを見極めるために当該物質を使用している場合(ただし、人の健康および環境へのリスクが、労働者および環
境の保護に係る法規の要件に従って十分に管理されている場合に限る。)
- いかなる川下使用者も、以下のいずれかにおいて特定されたリスクを適切に管理するための適切な措置を特定し、適用し、かつ適当ならば、推奨し
なければならない:
- 提供を受けた安全性データシート;
- その者自身の化学物質安全性評価;
- 第32 条に従って、提供を受けたリスク管理措置に関する情報。
- 第4項(c)に従って化学物質安全性報告書を作成しない場合には、川下使用者は、その物質の用途・取扱/使用を考慮し、かつ人の健康と環境へのリスクが十分に管理されることを確実にするために必要とされる適切なリスク管理措置を特定し、適用するものとする。必要ならば、その川下使用者が作成するあらゆる安全性データシート
にその情報が含まれねばならない。
- 川下使用者は、化学物質安全性報告書を最新の状態とし、利用できる状態に保たなければならない。
- 本条の第4項に従って作成される化学安全性報告書は、第14条(5)に定める最終使用による人の健康へのリスクに関する考慮を含める必要はない。