■RCニュース概要
■ニュース春季号 No61
第20回 日化協総会
第5回 RC賞の表彰式が行われました
from Members
RCの現場を訪ねて:電気化学工業(株)千葉工場
RCの現場を訪ねて:日本ゼオン(株)川崎工場
平成23年度上期会員交流会
東日本大震災への日化協の対応
化学人材育成プログラムの紹介
個別対話「環境保全連絡協議会」
第12 回APRCC開催案内
JRCCだより

 
   
  JRCCは昨年の総会にて日化協との統合が承認され、日化協内のレスポンシブル・ケア委員会として活動をしています。統合後初めての今年度総会は2011年5月25日(水)に東京のホテルオークラ東京 別館2階メイプルルームにて開催されました。
 
藤吉会長挨拶要旨
1.はじめに
 3月11日に発生した東日本大震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被災者の方々ならびに被災された会員各位に心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、日化協は、公益法人制度改革関連法に基づき、4月1日をもって、「一般社団法人 日本化学工業協会」へ移行致しました。本日は、一般社団法人となって最初の総会であります。会員の皆様の一層のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
 
2.東日本大震災について
 3月11日の東日本大震災では、会員企業約180社のうち半数の会社の事業所が、何らかの被害を受けました。しかし、会員各位の懸命な努力の結果、現在では9割方が操業再開、または再開の目途が立つという状況まで復旧しています。
 会員による被災地支援として、5月13日現在、116社8団体で合計111億円に上る義援金や日用品・食品等の支援がなされています。
 一方、震災の影響による夏期の電力需給対策として、政府より15%の節電目標が出されています。この節電目標に対し、コンビナートでの地域連携やグループ企業間の連携、自家発電設備のフル活用、生産の時間・日程・サイトのシフト、各種省エネルギー努力など会員各位がそれぞれ懸命に対策を検討していると存じます。日化協としても、化学業界全体として、目標をクリアできるよう、自家発電の設置・有効活用に関連する法規制の緩和や許認可の迅速化、その他復旧に伴う金融面の配慮などの支援を引き続き求めていきます。
 また、日本からの輸出品に関し、放射線関連で風評被害が出ており、化学製品についても放射能汚染のないことの証明等を求められるといった事象が起こっています。こうした事例は、輸出入のみならず、国内での取引についても発生しています。日化協として、経済産業省からの注意喚起文を会員に周知するなど風評被害防止に努めていますが、今後とも政府に対し風評被害防止をより強く求めていきたいと存じます。
 
3.日化協の重点課題
 さて、私は昨年、日化協会長就任の際に、
   1)地球温暖化問題への対応
   2)化学品管理の充実
   3)技術力の強化支援
の3つを重点課題として申し上げました。関係各位のご協力により、この1年間で具体的な取り組みが進んでいます。
 まず、地球温暖化問題への対応については、化学産業がこの問題に貢献していることを情報発信していくことが重要です。カーボンライフサイクル分析の結果、化学産業は自ら排出するCOの2倍〜4倍のCO削減に貢献しています。この点を社会により浸透させていくため、日化協では、日本国内における具体的な化学製品の使用によるCO排出削減量の定量化を行い、再生可能エネルギー、省エネルギー、軽量化分野の9つの事例で、化学産業の貢献度合いを分析しました。現在、有識者の第三者意見も付して報告書を作成中で、7月に完成の見込みであり、この分析結果をもとに情報発信を効果的に行っていきたいと存じます。
 第2点については、世界的に化学品管理強化の取り組みが本格化してきています。日化協では、本年4月より、化学品管理の自主的取り組みJIPS活動を本格的に開始しました。長期自主研究LRI活動も10年間継続し、着実に成果を挙げています。直近の話題として、昭和薬科大学・山崎浩史教授への委託研究で開発されたリスク評価モデルが米国環境庁EPAのリスク評価手法として採用されることとなりました。このモデルは、動物の実験結果からヒトにおけるリスク評価を実施するうえで、安全係数を用いない、より精緻なリスク予測手法として画期的なものです。EPAから間もなく正式に採用が公表される見込みです。
 3点目に、中・長期的な日本の化学産業の国際競争力を支えていくために、人材の強化に取り組んでいます。大学院の化学系専攻(博士後期過程)を支援していく化学人材育成プログラムが4月よりスタートしました。また、今年は世界化学年であり、これを機に化学のPRと次世代化学者の裾野拡大に努めていきます。
 
4.おわりに
 震災以後、福島原発の安定化が未だ見通せない状況にあり、浜岡原発停止の影響など不確定要素が多い中で、今後、政府において、エネルギー基本政策、温暖化対策、新成長戦略の見直し議論が進められることになります。エネルギー、地球環境を考慮した復興、新しい世界の構築が日本に課せられた課題であり、日化協としても日本の化学産業の将来に向けて尽力してまいりたいと存じます。
 引き続き、会員の皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
  
 

 総会は正会員数254名の内、230名の出席(委任状168名を含む)にて行われました。
 議長は藤吉会長がつとめ、会長挨拶の後、下記議案に付き審議が行われ、いずれも異議なく原案の通り可決されました。
 
<議案>
1.理事補欠選任の件
2.平成22年度事業報告、収支決算書及び財産目録の件
3.平成23年度事業計画及び収支予算の各案の件
 
平成22年度事業報告(主要項目概要)
  • 地球温暖化対応では、国際的にはICCAにおける「エネルギーと気候変動リーダーシップグループ」のリーダー国として、地球規模での化学産業の本課題に対する取り組みを牽引し、化学産業が資源の有効活用、エネルギー保全を通じ、持続可能な社会の確立に貢献するソリューションプロバイダーであることを社会に浸透させることに取り組んだ。国内では、環境自主行動計画の目標達成を目指し活動した。また、2020年に向けた「日本経団連 低炭素社会実行計画」への参加を化学業界として表明した。
  • 化学品管理では、リスク評価をベースとした管理とサプライチェーン全体でのリスクの最小化に向けた国際的レベルの官民の取り組みに向け、整備が進められつつある各国規制対応に対する会員への支援体制強化を行った。またこれに向けたICCAの新たな自主的取り組みである化学品安全戦略 (GPS)の展開支援、及びGPSの国内版としてのJIPSの普及に向けた各種準備と体制整備を実施した。JIPSは平成23年度からの本格実施を予定している。一方でOECD等の国際機関のプログラムや、ナノマテリアル等新規課題にも業界として積極的に取り組んだ。長期自主研究(LRI)については10周年記念事業を成功裡に終え、新たな方向での取り組みを開始している。
  • 環境安全に関しては、大気汚染防止法、水質汚濁防止法の改正等に伴う環境規制の動き及び労働安全衛生法の改正の動き等に対して、化学業界としての意見を集約し反映することに取り組んだ。
  • 人材育成では、経済産業省化学課が策定した「化学ビジョン研究会報告書」の提言を踏まえ、「化学人材育成プログラム」実現に取り組んだ。平成23年3月1日現在、会員企業の参加は36社あり、大学院博士後期課程支援策を平成23年4月にスタートさせる予定である。
  • 公益法人制度改革に関しては、第19回通常総会において一般社団法人における定款及び役員の選任について承認を得た後、7月に公益認定等委員会に対し、一般社団法人移行認可申請を行った。また、新法人における理事会運営規則等に関しては、第136回理事会で承認を得た。
     
平成23年度事業計画(概要)
 平成22年度の実績を踏まえ、平成23年度は、
  • グローバル化対応
  • 組織連携(組織内外・組織内の縦横連携)
  • 情報発信
  • 中長期的視点
を念頭に置き、以下の項目を重点課題として、日化協の事業目的の達成と会員サービスの強化に向けた活動を効率的に推進していく。
  • 地球温暖化対応のさらなる推進
  • 化学品管理に係わる国内外諸課題に対する取り組みの充実
  • 環境・安全に係わる諸課題に対する取り組み推進
  • ICCA 優先課題活動 (エネルギーと気候変動、化学品政策と健康、レスポンシブル・ケア(RC))への対応
  • 事業環境のイコールフッティング実現に向けた働きかけ
  • 化学人材育成プログラムの実行
  • 広報・広聴活動の強化、特に世界化学年への取り組み
  • 公益法人制度改革への対応