|
|
|
|
|
|
|
|
|
1.「化学人材育成プログラム」の発足経緯と狙い |
|
|
|
2010年6月に閣議決定された「新成長戦略構想」に先立って、経済産業省は13の研究会からなる「産業構造ビジョン2010」を立ち上げ、産業分野別に課題と対応策を議論してきました。
2009年11月に設置された「化学ビジョン研究会」では約半年間の検討期間を経て2010年4月に報告書を発表しています。その中で化学産業のコアコンピタンスとなる技術力の向上について研究開発と人材育成が車の両輪となることを改めて指摘しています。これを受けて人材育成に関しては、日本化学工業協会が事務局となり、主要会員会社が参加する「化学人材育成プログラム協議会」が2010年12月21日に発足しました。本プログラムでは、将来の産業イノベーションを担う高度な教育を受けた人材の供給源として大学院専攻に着目して、現在、その多面的な支援システムを構築すべく検討を進めています。既に2011年4月から他の支援策に先駆けて、博士課程に在籍する学生に奨学金の給付を開始しました。
日本は今後のグローバル市場の中で、イノベーションを武器に付加価値の高い新製品で厳しい競争に勝ち抜いていく必要があり、その中心と期待されるのが博士人材です。しかし諸外国に比べて、博士号を有する技術者の割合が少ないことが課題となっています。自然科学系の博士号取得者はここ10年間7,000人レベルで横這いの状況で、アメリカ、中国の1/3に過ぎません。企業の研究開発従事者に占める学位取得者の割合も3%前後で推移しており、10%前後の国もある中、高度人材確保の面で競争力があるとは言い得ない状況です。
「化学人材育成プログラム」では新たな化学産業の躍進を担う高度な人材の育成システムを産業界が直接支援することで、化学産業の未来に向けた底上げを図る狙いがあります。 |
|
|
|
|
2.「化学人材育成プログラム」の内容 |
|
|
本プログラムの主旨は化学業界の現状とニーズを理解し、高度な教育プログラムを駆使して博士人材を輩出する大学院と所属教官をサポートしていくことにあります。
博士課程の学生を経済的に支援する奨学金制度はプログラムの活動の一環で、現在37 社の有志企業からなる寄付金ファンドで運営されています。初年度4名、活動5年目の2015 年以降は毎年36 名の学生に奨学金が給付される予定です。
プログラムでは化学産業界と大学院で現場レベルの人材交流を活発にして相互の理解を深めることがなにより重要と考えています。今回、応募のあった大学院専攻との個別面談でも産業界との交流を望む声は多くありました。年間計画では産学官によるシンポジウム、就職相談、研究発表会、インターンシップ等の様々な交流の機会を設けることにしています。 |
|
|
3.今後に向けて |
|
|
グローバルに学生が集まる有力な大学院では、正規な入学時期は4月に限らず10月もあります。年間工程表はこのサイクルを勘案し前後期の学期スタートに合わせて、当初計画を多少手直し実施する予定です。
本年より活動を開始した「化学人材育成プログラム」は、産業界が企業の枠を超え業界として大学院の教育システムを直接支援する初めての取り組みです。このプログラムは企業の皆様のご理解とご支援なくして継続できるものではありません。また人材育成には時間がかかりますので、是非長い目で見守っていただければ幸いです。 |
|
|
|
Copyright 2011. Japan Responsible Care Council. All right reserved.
|
|