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第58回 |
地域社会に信頼される企業であり続けたいと考えています。 |
日本ポリウレタン工業株式会社 |
取締役 常務執行役員
浅田 三男さん |
ポリウレタンフォーム原料を国内で初めて本格生産 |
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― 日本ポリウレタン工業の概要から聞かせてください。 |
浅田 |
当社は1960年に、マットレスなどクッション材用のポリウレタンフォーム原料を国内で初めて本格生産することからスタートしました。1962年には現在の山口県周南コンビナートの一角にTDI3,000トン、ポリエステル1,500トンの生産能力を持つ南陽工場が竣工しました。TDIの製造には大量の塩素と水素を使用し、一方で副生塩酸を産出します。その有効利用が工場立地の重要なポイントであり、当時、我が国屈指の苛性ソーダ・塩素メーカーであった東洋曹達(現東ソー)に隣接する地区に建設を決定したものです。その意味では、ビニル・イソシアネート・チェーンのはしりと言えると思います。また、1966年には保土谷化学からの受託生産という形でMDIの製造を開始し、1970年に事業を譲り受けました。その後、新増設を重ねるとともにイソシアネートの誘導品プラントも立上げ、ポリウレタンの総合メーカーとして事業を展開してきました。2007年、南陽本部から2kmほど離れた周南市の東ソー敷地内にMDI200,000トンのプラントを新設し、現在の生産能力はTDIが25,000トン、MDIが400,000トン、イソシアネート誘導体50,000トン、ポリエステル12,000トンとなっています。研究所は横浜市戸塚区、中国の上海に置き、海外の生産拠点は中国の浙江省、上海にあります。2010年度の売上高は877億円、従業員は617名です。ポリウレタンは自動車・住宅・家電・衣料等、様々な分野で断熱材や緩衝剤、接着剤、塗料、繊維といった多種多様な製品として私達の身近なところで使用されています。 |
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― 当然、環境にも配慮しなければ…。 |
浅田 |
研究所では環境・品質・省エネルギー・新分野というキーワードで製品開発に取り組んでいます。環境対応の面では、オゾン層を全く破壊しないノンフロン硬質ポリウレタンフォーム断熱材やシックハウス・大気汚染防止に寄与するノンホルマリン系接着剤・水系ポリウレタン塗料が代表的な製品です。近年、上下水・工業排水の水質改善対策として中空糸濾過膜が使用されており、中空糸を固結する封止剤としてもポリウレタン樹脂が使用されています。また最近、よく見かける屋上緑化の土壌固定化にポリウレタンフォームが使用され軽量化がはかられています。 |
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化学企業としての方向性が確立された |
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― ?レスポンシブル・ケア導入に至る経緯を聞かせてください。 |
浅田 |
1996年4月にJRCCに入会し、活動を開始しました。同年1月に全社・全製品を対象としたISO9001の認証を取得していますから、ほぼ同時期ということになりますね。以前から取り組んでいた安全衛生・ゼロ災・省エネルギー・環境保護・製品安全といった活動を統合して総合的に進める必要性を認識し、日化協の「環境・安全に関する基本方針」に賛同して加入しました。 |
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― 導入時の現場の反応はいかがでしたか。 |
浅田 |
まず、レスポンシブル・ケアという言葉自体が、何と翻訳してよいのか判らない(笑)。環境・安全に関して、また新しいことを始めるのかという感じでしたね。実際の活動はISOの認証取得の時と、それほど差異はなかったので比較的スムーズに浸透したと思いますが…。ただし、計画に基づいて活動し、内部監査を行い、結果をJRCCに報告するというサイクルは、これまでとは明らかに違います。この点は化学企業として、やるべきことが明確になった、方向性が確立されたという意味で、大きな前進だと捉えました。 |
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― 組織・体制は変更しましたか。 |
浅田 |
導入当初にレスポンシブル・ケア活動基準を制定し、環境保安対策委員会をレスポンシブル・ケア委員会に改組しました。2001年10月には技術部から環境保安・品質保証部に活動の主幹を移し、現在はレスポンシブル・ケア委員会も環境安全、品質保証の二つの部会で構成されています。 |
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― 活動内容に変化はありましたか。 |
浅田 |
製造現場では、従来の活動の延長線上で推移していたと思います。目に見える取り組みとしては、2001年1月のISO14001認証取得や2003年度から発行している環境報告書などが挙げられますが、それ以上に企業の社会的責任に対する認識が深まったことが大きいと考えています。単に法規制を守るだけではなく、自主管理活動により常に改善していくという意識に転換しました。また、社会とのコミュニケーションを重視している点も、レスポンシブル・ケアの特徴ですね。 |
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― 具体的には…? |
浅田 |
当社は617人のうち400人強が南陽本部に在籍しているので、昔から地域との関係は重視してきました。とは言え、苦情を持ち込まれた時に対応するといったケースが大半で、積極的な対話は余りなかったと記憶しています。レスポンシブル・ケアの導入以降、自治会の方々と定期的に意見交換を行ったり、周南コンビナート全体で産業観光ツアーを開催したりして、住民の皆さんとの交流を深めています。勿論、厳しいご意見をいただくこともありますが、当社の取り組みに対する理解も得られていると感じます。最近では、中高生を対象とした体験学習の受講者の中から、入社する人も見られるようになりました。 |
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安全文化の構築に取り組む |
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― 研究開発部門における活動はいかがですか。 |
浅田 |
当社の製品は元々、省エネルギー・省資源といった環境に対応した特質を持っていたことから、レスポンシブル・ケアにより研究開発に支障を来すということはありませんでした。むしろ製品設計における化学品安全や廃棄物削減といった管理のレベルアップと、環境調和型樹脂開発の推進に繋がりましたね。 |
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― 教育・研修体制は? |
浅田 |
2007年問題と言われた団塊世代の大量退職とプラントの新設が重なったことにより、ここ数年で100人を超える新入社員を採用してきました。これに対応すべく、2009年度に南陽本部に教育推進部を設置し、技術伝承と若年層の即戦力化を図っています。また、挨拶の励行や保護具の着用、5S といった基本的な部分を含めて、安全文化構築推進活動に取り組んでいます。 |
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― レスポンシブル・ケアとコストの関係は、どのように考えていますか。 |
浅田 |
企業活動による環境負荷は避けられないものですが、極力低減するための努力は怠る訳にはいきません。従って、環境・保安投資は継続して行っています。実際、2006年度以降プロセスの変更により、排出量、エネルギー原単位とも削減してきていますので、今後も新設備や新技術によって環境負荷低減に取り組む意識を全社的に浸透させたいと思っています。 |
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基準を上回る耐震設計 |
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― 防災対策について聞かせてください。 |
浅田 |
ポリウレタンの製造工程では高圧ガス、危険物を使用するので、漏洩対策には万全を期しています。山口県は比較的地震の少ない地域ですが、万が一の場合に備え、法規上の基準を上回る安全係数を定めて耐震設計を行っています。 |
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― 社会貢献活動には、どのように取り組んでいますか。 |
浅田 |
公園や福祉施設の清掃や森林保全活動、ペットボトルキャップ・ベルマークの回収、献血活動等を推進しています。また、夏祭り等の地域イベントにも積極的に参画しています。 |
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― 今後の目標を聞かせてください。 |
浅田 |
当社は、従業員・地域社会の安全確保、製品の安全性確保と製造・流通・使用に関係する人々の健康障害防止、環境負荷の低減と地球環境保護への貢献という環境安全方針を掲げています。これらを達成するための一つの手段としてレスポンシブル・ケア活動を継続・充実し、地域社会に信頼される企業であり続けたいと考えています。 |
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― 日化協レスポンシブル・ケア委員会に対する要望はありますか。 |
浅田 |
JRCC NEWSの発行、地域対話や会員交流会・勉強会の開催等、非常に有意義な活動を展開されていると思うので、今後も更なる拡充をお願いします。 |
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夏祭り「サンフェスタ新南陽」フワフワバルーン
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周南地区産業観光ツアー |
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