ECETOC TRA

JICA REACH WEB Site Logo_566.png

ECETOC TRA

更新日 2011-12-02 | 作成日 2011-10-04

ECETOC TRA

2011-10-14 公開
2011-10-17 一部改訂 測定値使用取説追加
2011-10-20 ECETOC TAR 測定データ利用マニュアル 1.1リリース
2011-11-04 同 1.2.1 リリース
2011-12-01 最終更新
2011-11-22 ECETOC TRA改訂予告情報を追加

このページでは欧州化学物質生態毒性・毒性センター(ECETOC)がリリースしている目標を絞ったリスク評価(TRA, Target Risk Assessment)について紹介しています。

背景

求められている膨大な種類の化学品の安全性評価

REACHは、化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則です。2007年6月1日に発効されました。欧州連合の化学物質に関するそれまでの法的枠組みを合理化し改善したものです。REACHの主要な課題の一つは、製造業者や輸入業者による約30,000もの化学物質の登録が予見されることです。これらの化学物質の多くが分類され、それらの登録をサポートするための化学物質の安全性評価が必要になります。実際的かつ科学的に、そのような課題に直面した場合、専門家でない人がアクセスできる適切なツールがREACHプロセスの主要ニーズです。

これらの目的を達成するため、定義された使用状況で合理的に予想される化学物質の曝露とリスクを計算するための階層型(ステップバイステップ)のアプローチをECETOCは開発しました。アプローチは、消費者、作業者、環境への曝露に対応しています。

 (ECETOC TRA頁からの日本語訳を引用)

非専門家の参加が肝要

ECETOC TRAの頁冒頭(上記)に記載されているように、膨大な種類の化学品のリスク評価をし、安全性を確認するという作業, これはAgenda 21で国際的に約束された作業であるが、この作業を短期間に実施するには現行の人的リソースが不足しており(これはAgenda 21第19章1項での指摘事項だが)、専門家でない者がこの作業に加わることが肝要となる。その専門家でない者がある程度の種類の化学品のリスクを評価することができれば、非専門家による評価では済まされない、リスク評価が容易にはできない化学品の使用取扱のリスク評価に専門家が集中することができ、全体として、30,000もある化学品のリスク評価を比較的短期間に終えることができると考えられる。
というのが、ECETOCの考え方、というより欧州の考え方である。

階層的手法 -- 第1階層は非専門家による

ECETOCの言う階層的手法とは、第1階層において専門家でない人がスクリーニング的にそれに適した難易度の低い(しかし科学性を失わない)ツールを使って処理をし、残った評価の難しいケースについて専門家に処理してもらうことによって、全体として効率的かつ包括的に化学品の評価を終えようというものである。

ECETOC TRA手法

この、専門家でない人が容易に実務的、科学的に使えるツールの一つとして開発されたのが、ECETOC TRA手法であり、それは、次の2つの報告書にまとめらている:

  1. ECETOC Technical Report No. 93 ― TR 093 - Targeted Risk Assessment、January 2005
  2. ECETOC Techinical Report No. 107 - Addendum to ECETOC Targeted Risk Assessment Technical Report No. 93, December 2009

これらは無償でECETOCの次の頁からダウンロードできる: http://www.ecetoc.org/technical-reports

ECETOC TRA ツール

さらにこれをITツール(EXCEL)としたものが, ECETOCからリリースされていて、これもまた次のECETOCの頁からダウンロードできる:http://www.ecetoc.org/tra
このツールは、消費者用バージョン、労働者用バージョン、及び、消費者用、労働者用、環境用のモジュールの統合バージョンの3種類がリリースされている。

ECHAがECETOC TRAをCHESARに実装

後に、ECHAはこのECETOC TRAの手法を、自身が開発リリースしたCHESARに実装し、CHESAR上でECETOC TRA手法を使えるようにした。 このCHESARは次のページからダウンロードできる:http://chesar.echa.europa.eu/
CHESARについては本サイトでは次のページで簡単に紹介している:REACH CSA/CSRツール CHESAR 頁

なお、ECETOC TRA 統合版の労働者モジュールには一部バグがあり、いくつかのPROCについて極低蒸気圧(<0.00001 Kpa)で非固体の物質についての計算に影響がでると、ECETOCはアナウンスしている。2011/10/06現在まだ修整版が出ておらず、該当するケースの曝露評価・リスク評価では、ECETOC TRA 労働者スタンドアローン版か、CHESARにより実施する必要があろうとしている。

ECETOC TRAに関する詳細な説明資料

ECETOC TRA Interface Mode (Tier 1)

Bangkok.png

日化協(2010)6. Let’s operate ECETOC TRA together - Learning of the basic operation –using the Integrated Version,

この資料はECETOC TRA(EXCEL版)のINTERFACEモード(Tier 1モード)の計算方法を紹介するものです。
2010年ICCA主催GPSタイキャパシティビルディングのトレーニングセッションの資料の一部です。
ダウンロード:
6_Lets_operate20ECETOC_TRA_together_20100811.pdf


日化協(2011) ECETOC TRAによる排出量測定データ使用(Tier 2)マニュアル 

20111104manual.png

この資料はECETOC TRA (Excel版)で、デフォルト値にかわり排出量を設定することによりリスク評価をRefine(改善)する具体的な方法を紹介するものです。

2011/10/20 改訂版第1.1発行 (図落ち等を修正)
2011/11/04 改訂版第1.2.1発行 (寄せられたコメントに基づき修正・加筆)

ダウンロード: ECETOC TRAによる排出量測定データ使用マニュアル 改訂第1.2.1版【PDF】

ECETOC TRA ver 3 リリース予告

ECETOCは、ECETOC 2011年11月 e-Newsletter発行 (第21)のなかで、ECETOC TRAのバージョン3を12月にリリースすることを予告した。

「... ECHAは、Chesar CSA/ESツールを更新する意図があることを知らせていた。 労働者と消費者のツールの更新は、ECHAとの密接な協働の下で実施中であり、ECHAはこの二つの人健康に関するコンポーネントを新しいChesarのバージョン2に組み込むつもりとしている。これらのコンポーネントに加えて、TRAに組み込まれたEUSESのスプレッドシートへの実装もまた更新作業中である。これらの新しいバージョンは現在のところTRAv2と他の曝露モデルでテスト中である。新しいTRAのバージョン3は2011年12月にリリースされる予定であり、あわせて、ユーザガイドも変更に伴う更新がなされる予定である。ステークスホルダ向けのワークショップが何回か予定されており、そのワークショップはECHAとECETOCによって組織される予定である。そのワークショップと技術報告書107の補遺により、変更構成についての情報を流すことも計画されている。」

この更新バージョンでは既にECETOCがそのサイトで明らかにしている バグ についての修正もなされているであろう。