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社長は安全について大いに語るべし |
特定非営利活動法人 安全工学会 会長
小野 峰雄 |
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安全工学会の提案
安全工学会は「安全を科学する」を旨とし、大学関係者と企業の技術陣による研究活動や講習会などの普及活動をしている。その他特別事業として「企業の保安力とその評価方法」を纏めた。これを参考にして自らの保安力を自己評価し、改善していけば保安力は間違いなく高まる。 |
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日本は従業員の高いモラルと優秀な技術者に支えられ比較的高い安全性を保持しているが、それでも大小の事故が相変わらず発生している。ここは社長の出番であり「保安力」の中の「安全文化」の重要性を認識し、現状打破に挑戦して貰いたい。
学会は次の提案をし、実践のお手伝いをしている。 |
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社長は「安全文化」のリーダー、現場の従業員と沢山語り合おう。 |
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安全文化」の確立のため社長間で安全について率直に語り合おう。 |
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大学の知識を現場に導入するため社長は大学の先生方と積極的に語り合おう。 |
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1.「保安力」
「保安力」とは企業が持つ安全を守る様々な力を言い、人的側面の「安全文化」と技術的側面の「保安基盤」に分類している。事故ゼロを目指すには従業員のやる気、緊張感、気軽に注意し合う、などの「安全文化」の強化が重要である。性善説と性悪説の使い分け、長期的な日本人の精神構造の変化などを考慮する必要があり、社長間の意見交換による共有部分の構築が必要である。くれぐれも一企業だけで全て解決できるなどと驕ってはならない。
企業には安全工学会の「保安力と評価方法」の活用をお願いする。
2.「安全に関する社長の役割」
安全工学会では「安全に関する社長の役割」を明文化した。これを中心話題とし少人数による(4人/回程度)社長懇談会を既に2回開催した。この書は備忘録として、社長就任時の教科書として使えるとの意見をいただいた。“事故→規制強化の悪循環を断ち切るべし”“大学は化学工学の基礎を教育すべし”など常日頃意識している問題も提起された。聞き役は大学の先生方で産・学の意見交換も行われる。日本は産・学の意見交換の機会が極めて不足している。石化協とは密接に連絡を取っている。日化協も大いに協力をお願いしたい。
日化協へのお願い |
1. |
安全は国家的課題であり、中でも今最も重視されるべきは「安全文化」である。事故の遠因には必ず「安全文化」がある。それを改革したり成熟度を上げられるのは社長である。「安全文化」の根底には国民的風土があり、企業の枠を超えた共有の「安全文化」を育むよう日化協は社長間の対話の機会を作って欲しい。 |
2. |
製造業の技術発展の基盤を作るため、産・学、関係業界(エンジニアリング・製造・保全)の首脳陣の対話の機会を作って欲しい。業際の弱さは製造技術を衰えさせる。 |
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社長へのお願い
優秀な技術のみではこれ以上事故は減らない。素人発想歓迎、社長は部下と積極的に対話して欲しい。社内を活性化し、そこで把握した問題点を社外(行政・大学など)へ発信し社会を動かして欲しい。社長の発信力は強い。
学会のあり方について
安全を標榜する学会は安全工学会のみ、他は学・協会の安全部会として小規模な活動をしていて効率が悪い。これらの活動費用は全て企業負担である。社長には学識者と企業技術者が最大の成果を上げる仕組みを作り投資効果を最大にする義務がある。日本自前の指針を作り国際交流する気構えが欲しい。
東日本大震災
地震は貴重な体験であった。日化協は自らの手で地震の被害実態を纏め、指針の作成をして貰いたい。調査員は情報公開を最大化するため大学関係者、検討は現場に詳しい企業の技術者が当たるのがよい。
以上に掲げた課題の取り組みには安全工学会に是非協力させて貰いたい。 |
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