■RCニュース概要
■ニュース冬季号 No64
VOICE:小野 峰雄
日本RC協議会と日本化学工業協会の統合にあたって
from Members
RCの現場を訪ねて:日産化学工業(株)小野田工場
RCの現場を訪ねて:花王(株)鹿島工場
地域対話を開催:第8回 山口西地区地域対話
地域対話を開催:第8回 川崎地区地域対話
会員交流会
会員交流勉強会
大阪・東京 消費者対話集会開催
個別対話集会・地域対話補完集会
RC検証について
安全表彰の表彰式
JRCCだより

 
レスポンシブル・ケア委員会 運営幹事会 主査
大村 康二
 
 皆様既にご承知のように、日本レスポンシブル・ケア協議会(JRCC)は日本化学工業協会(日化協)との統合に向け、2010年度から暫定的な統合運営を行ってまいりましたが、2012年度からは完全統合され、レスポンシブル・ケア(RC)活動を日化協の全会員に広げてまいります。この機会を捉え、RC運営幹事会主査としてRC活動に携わった立場から、統合の意義を考えてみたいと思います。
 JRCCは1995年に日化協の化学製品製造企業74社によって、設立されました。当時は、1989年に各国の化学工業協会が集まって国際化学工業協会協議会(ICCA)が設立され、1985年にカナダで始まったRC活動を世界中に広めている時期でした。世界の化学工業界は、化学物質から人の健康・安全そして環境を守るための活動であるRC活動を世界中に普及させることが企業としての責任であると考え、自主的に取り組みました。日本では、世界の動きに先駆けて厳しい規制の遵守と各企業の自主的な取り組みによって、環境問題をほぼ克服していましたが、社会からの化学産業への信頼性をより一層高めるために、世界的な環境保全に向けた動きに賛同して新たな活動に取り組むこととしました。日化協は1990年に環境・安全に関する基本方針を定めてRC活動を開始し、次いで1995年にJRCCを設立して、これまで化学企業各社が個別に実施していた環境・安全・健康への取り組みに対して共通の目標を設定し、RC活動を組織的に強力に推し進めていくこととしました。
 現在では、JRCC会員企業は86社に増え、17年間にわたる会員企業の自主的な取り組みによって、化学製品の性状や取扱い方法の明確化、化学物質の水や大気への排出量の低減、労働災害や設備災害の防止、産業廃棄物の削減、省エネルギー、そして社会との対話による相互信頼の向上など、目覚ましい活動成果を上げてきています。
 JRCCで行っているRC活動は、化学物質を扱うそれぞれの企業が化学物質の開発から製造、物流、使用、最終消費を経て廃棄・リサイクルに至る全ての過程において、自主的に「環境・安全・健康」を確保し、活動の成果を公表し、社会との対話・コミュニケーションを行う幅広い活動です。一方、日化協には化学品管理委員会と環境安全委員会があり、実際の活動はこれらの委員会と連携しながら行っています。そのため、外部から見るとJRCCの活動と日化協の委員会活動の違いがわかりにくいという意見がありました。設立当初においては、JRCCは新たなRC活動を国内で推進する組織として非常に効果的でしたが、RC活動が定着した現在ではその役割を見直す時期に来ていました。
 また国際的な活動の動向を見ると、世界各国は「2020年までに化学製品の製造と使用が、人の健康・安全そして環境に与える影響を最小化する」という目標を設けることに合意し、その具体的な達成への方針として2006年に「国際的な化学物質管理に関する戦略的アプローチ(SAICM)」を採択しました。ICCAはRC活動をより一層強化することによって2020年目標の達成に貢献する方針を定め、RC世界憲章を公表してサプライチェーンを通じて化学製品のリスク管理を行うプロダクト・スチュワードシップ(PS)活動の強化を誓約し、更にこのPS活動を具体的に進める手法としてグローバル・プロダクト・ストラテジー(GPS)を策定し、各国で推進することとしました。
 日本では、JRCCと日化協の化学品管理委員会とが協力して国内のGPS活動を推進することとし、GPS/JIPS(Japan Initiative of Product Stewardship)活動という名称で2011年度より本格的に活動を開始しました。本活動を効果的に進めるためには、化学製品製造業のJRCC会員のみでなく、化学製品の流通企業や使用企業など日化協全会員の協力が不可欠となります。
 以上のように、日本でのRC活動の定着と国際的な化学製品管理の動きを考慮した結果、JRCCと日本化学工業協会を統合することで効率的な活動ができるという結論に達し、両者を統合することとなりました。統合によって、RC活動を化学製品の製造企業のみでなく川下の企業まで広げることができ、化学製品をライフサイクル全体を通じて適正に管理するというRCの基本的な理念を達成することに繋がります。
 今回の統合は、日本でのRC活動を更に充実させていく新たな一歩であると考えており、日化協全会員の協力をお願い致します。