■RCニュース概要
■ニュース冬季号 No64
VOICE:小野 峰雄
日本RC協議会と日本化学工業協会の統合にあたって
from Members
RCの現場を訪ねて:日産化学工業(株)小野田工場
RCの現場を訪ねて:花王(株)鹿島工場
地域対話を開催:第8回 山口西地区地域対話
地域対話を開催:第8回 川崎地区地域対話
会員交流会
会員交流勉強会
大阪・東京 消費者対話集会開催
個別対話集会・地域対話補完集会
RC検証について
安全表彰の表彰式
JRCCだより

 
   
 本年度も大阪・東京での消費者対話集会の開催を継続し、大阪は第8回、東京は第15回を迎えました。消費者対話集会が長く続いているのは、消費者団体にとって企業の生の声を聞ける貴重な機会であると受け止められているからだと思います。今回は化学製品の省エネルギーに対する貢献を知っていただくために温暖化防止をテーマとし「温室効果ガス削減に向けた新たな視点?国内における化学製品のライフサイクル評価:cLCA(CO2に着目したライフサイクルアナリシス)報告書?」の講演を日本化学工業協会の笠井部長にお願いしました。内容は、化学製品の製造段階で排出されるCO2 のみを考えるのではなく、その製品を使うことによって消費段階でCO2 を減らせるということを科学的根拠に基づいて数値的に評価したものです。東日本大震災以後、政府のCO2 削減はトーンダウンしており基本方針も策定されていません。本cLCA報告書は、日本でCO2 削減のために真に有効な方法は何かということを化学工業界から行政や社会に提言することを目的としています。
 大阪対話集会は2011年11月25日、大阪市立総合生涯学習センターで開催され、消費者団体より6名、企業側8名の計14名が参加しました。コンシューマーズ京都から参加された原氏は長年水銀問題に取り組み、蛍光管の廃棄時の適正な処理に尽力されてきましたが、そのリサイクルは30%程度であり問題は解決していないという話をされました。一方、化学企業の立場からは、製品はもちろん製造工程で水銀を使うというような事例は現在では殆どないことから、現時点では問題ないと考えているという見解が述べられました。
 cLCAの関連で、カーボンフットプリント(CFP)の進め方について質問がありました。CFPの計算方法については、一応の計算基準はあるが実際には各社が独自の方法を用いているのが現状であることから各社の数値の比較は難しく、消費者に誤った情報を与える危険性をはらんでいるというのが日化協の考えです。 東京対話集会は2011年1月6日、主婦会館で開催され、消費者団体より15名、企業側8名の計23名が参加しました。その中で、温暖化のLCAの話は勉強になったが、日化協の国際的活動を含む活動全般について知りたいという要望がありました。これに答える形で、日化協は国際化学工業協会協議会の主導の下にリスクベースのライフサイクルにわたる化学製品の安全管理活動に優先的に取り組んでおり、GPS/JIPS(Global Product Strategy/Japan Initiative of ProductStewardship)活動という自主的な取り組みを平成23年度に開始したという説明を行いました。
 また、東日本大震災を受けて、企業の取り組みの変化について質問がありました。被災地域に事業所を持つ企業からは、火災や事故を起こさずに安全にプラントを停止でき、地域住民の方にご迷惑をかける事態にはならなかったことから、従来の地震対策は効果があったともいえるが、不十分な点も見えたので改善しようと計画しているという説明がありました。一方、被災地域に事業所を持たない企業からも、原料調達に支障を来たしたことから、サプライチェーンの見直しを行っているという説明がありました。また、行政からの物資提供の要請を受けて被災地に自社製品を発送したが、輸送ルート・手段の確保やどの地区にどの程度の数量が必要なのかという情報が混乱しており、苦労したということでした。その他、自社技術を生かして現地でボランティア活動に取り組んだ企業もありました。
 地震に関連して、企業の節電対策についての質問もありました。化学プラントは組み立て作業と違って頻繁に止め起こしができないため、各社とも苦労が多かったということでした。実際には、自家発電設備の購入・レンタル、休日稼働を含めた稼働時間のシフト、大容量蓄電池の活用というような対応を行い、法律で義務づけられた15%削減を何とか達成したということでした。企業内のみでなく、従業員の家庭での節電を奨励する啓蒙活動を行った企業も多数ありました。
 最後に、報道された石油精製事業所の火災の詳細な原因や、被災事業所が困難な状況の中で自社の復旧のみでなく地域社会の復旧・復興も含めて努力し、住民の方から感謝されているという実例について補足し、対話集会を終えました。
 
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