1) 誰が
EU域外の化学物質製造者、調剤製造者あるいは物品製造者は、EUの唯一の代理人(
Only Representative
)[
第8条
]を指名して、それを通じて登録することができます。唯一の代理人は、実際の物流を除いて、EU域内の輸入業者と同じ立場の責務を追うことになります。この場合、本来の輸入者は唯一代理人の川下ユーザーの立場となり、自らの登録を行う必要はありません。
2) 何を
EUで製造または輸入する物が、化学物質自身の場合はそれ自身を、混合物(調剤)の場合はその各構成物質を、ポリマーペレットあるいはコンパウンドのようなポリマーの場合はその2%以上の構成モノマー、及び、その他の反応性物質[
第6条
]を、意図的放出物質がある物品の場合はその物質[
第7条
]を、単離されるあるいは輸送される中間体[
第17条
,
第18条
はその中間体を登録することになります。
3) いつ
3.1) 段階的導入物質[
第3条
,
第20条
,
第23条
,
第28条
,
第29条
,
第30条
]について登録[
第6条
,
第7条
]が必要な対象物質がある場合、2008年6月1日から12月1日までの間に予備登録[
第62条
]を行うことが必要です。2008年12月1日以降初めて製造・輸入量が年間1トン以上になる場合は、トン数帯で定められた登録期限[
第23条
,
第29条
.1]の12ヶ月前までに、かつ年間1トン以上になってから6ヶ月以内に化学品庁へ予備登録する必要があります。
3.2)予備登録後、2009年1月1日までに化学品庁から公表されるリストを元に、同一物質を扱う企業間で1つのSIEF[
第29条
]を形成してこれに参画する義務があります。SIEFには、データ所有者も参画できます。SIEFにおいては、手持ちデータを有償で提供したり、自らそのトン数帯で登録に必要なデータを有償で受領したり、不足している項目の試験を共同出費で実施したりして、いわゆるデータの共有化[
第25条
,
第26条
,
第27条
,
第30条
]を行うことが義務づけられています。これらについて実際の活動を行うためには、自主的に色々な形態のコンソーシアム[RIP3.4 Sec10]を組み、各コンソーシアムの契約に基づいて運用していくことになります。
3.3)SIEF内では、先導登録者[
第11条
1]を選出し、それを通して分類・表示などの共同提出[
第7条
,
第19条
]の項目について化学品庁への登録を行い、それとは別に各企業は個別提出[
第11条
,
第19条
]の項目について登録を行います。これらの登録は、トン数帯で定められた期限内に実施する必要があります。年間10トン以上で登録対象となる物質については、有害性情報のみならず、暴露評価およびリスク評価結果の情報を化学安全性報告書(
Chemical Safety Report
)[
第14条
]に記載して提出する必要があります。また、登録する際には、化学品庁に対して登録手数料[
第74条
]を収める義務があり、2008年6月1日までには設定されます。なお、中小企業に対しては登録手数料が低減されます。
3.4)非段階的導入物質[
第26条
,
第27条
]を登録する場合は、予め、第三者によりその同一物質の登録が既に提出されているかどうかを化学品庁に対して照会[
第26条
]する義務があります。先行登録者がいる場合、12年以前に提出されたデータなら無償、それ以降なら有償でそのデータを共有[
第25条
,
第26条
,
第27条
,
第30条
]して登録します。
もし自分がそのデータの最初の提出者であり所有者であれば、提出から12年間は、そのデータを用いて、後発の登録者が登録を行う場合、対価を要求することができます(データ参照権)。動物試験データについては共有が義務ですからキーとなる動物試験データの所有者である場合は、必ず対価を得ることができます(逆に共有を原則拒否できません。)
登録提出日から3週間以内に化学品庁から反対の指示がなければ、年間1トン以上のEUでの製造または輸入を開始できます。