目次
RCを知っていますか?
発行にあたって
環境・安全に関する日化協基本方針
報告書2011のトピックス
RC委員会の運営
RC委員会活動計画と実施状況
環境保全(省エネルギー・地球温暖化防止対策)
環境保全(産業廃棄物削減)
環境保全(化学物質の排出削減)
保安防災
労働安全衛生(労働災害防止に向けた取り組み)
労働安全衛生(安全表彰・シンポジウム)
物流安全
環境・保安投資
会員のマネジメントシステム
化学品・製品安全
会員の社会対話
RC委員会の活動(社会との対話)
会員交流
国際活動
RC検証
RCに期待する
JRCC協議会会員
注文書

 
 
 
削減計画
 環境省の「平成23年版環境白書 循環型社会白書/生物多様性白書」によると、ここ数年全国の産業廃棄物の総排出量はほぼ横ばいで最終処分量は減少しています。2007年度末の産業廃棄物最終処分場の残余年数は全国平均で8.5年分と徐々に改善は図られていますが、最終処分場の新規設置が難しいことなどから首都圏では3.6年分と厳しい状況になっており、循環型社会構築のために産業廃棄物の削減をさらに進めていくことが大切です。
 日化協では、日本経団連環境自主行動計画に従った目標(2010年度の最終処分量を1990年度比88%削減、以下「日化協目標」)を掲げて取り組みを進めてきました。調査に回答した96社のうち、この目標を達成した会社は48社となりました。日化協では、2015年度の最終処分量を2000年度比65% 程度削減という日本経団連環境自主行動計画に従った日化協目標を新たに掲げ、取り組みを継続していきます。
 
発生量、資源有効利用率、最終処分量の取り組み状況と実績
 
 日化協会員は分別の徹底や処理装置の設置・改善、また製造工程への回収や再利用などによる、発生源での廃棄物発生量削減の取り組みを進めています。2010年度の産業廃棄物発生量は1990年度比で54%削減(2009年度比6.3%増加)となりました。また、再資源化の取り組みを積極的に行い、資源有効利用率(資源有効利用量の廃棄物発生量に対する割合)は1990年度で25%でしたが、2010年度には60%まで向上しました。
 日化協会員の2010年度の最終処分量は285千トンで2009年度より5千トン減少し、1990年度比85%削減となり、日化協目標を達成できませんでした(下表参照)。また最終処分量の削減とともに、産業廃棄物管理表(マニフェスト)の交付回収確認や最終処分地の現地視察など廃棄物の適正処理に向けた取り組みも年々強化してきています。
「資源の有効な利用の促進に関する法律」に基づき、2004 年度より
汚泥を脱水後の重量としています。
 
循環型社会の構築に向けて
 会員は自社から発生する廃棄物削減のほか、社外から廃棄物を受け入れ、独自のリサイクル技術により循環型社会構築に貢献しています。こうしたリサイクルの例としては、廃タイヤ等の燃料としての利用、汚泥等のセメント原料としての利用、アルミ缶、廃プラスチックの回収と再資源化、梱包材のリサイクルや再資源化、廃金属のリサイクル、廃液からの塩素および臭素のリサイクル、廃テレビガラスの再原料化、化学繊維類のケミカルリサイクルによる再原料化等があります。
 
 
会員の取り組み事例

汚泥減容排水処理システム
(株)クラレ
 クラレは、環境問題を解決する技術・システムの開発に注力しています。
 従来から排水処理には、微生物に排水中の有機物を分解させる「活性汚泥法」が用いられてきました。活性汚泥法は大規模な設備スペースを必要とする上、多量に発生する「余剰汚泥」(過剰増殖した微生物)が産業廃棄物となり、その削減が課題となってきました。
 汚泥減容排水処理システム<ゼクルス>はクラレが独自開発した微生物固定化担体<クラゲール>を用いて、BOD や窒素を効率良く処理します。そのため処理施設の省スペース化と併せ、従来40〜50%であった余剰汚泥の発生率をほぼゼロにすることができます。さらに必要に応じて、排水を再利用することも可能にします。

環境調和型アンモニア
昭和電工(株)
 昭和電工(株)川崎事業所では一度使用して廃棄されたプラスチックを有効利用して環境調和型アンモニア「エコアン®」を製造・販売しています。プラスチックの主な構成成分は水素と炭素ですが、プラスチックの熱分解により水素と炭酸ガスにガス化されます。水素はアンモニアの原料として利用され、アンモニアはナイロンやアクリル、メラミン等の合成樹脂、医薬、農薬、肥料等様々な製品の原料として使用されます。また炭酸ガスは液化炭酸ガスとして清涼飲料や工業用ガス、ドライアイスとして有効に利用されています。このように「エコアンR」はグリーン購入(調達)に適した製品です。これまでに累計で30万トン(2010年末達成)の廃プラスチックをリサイクルしました。

合成ゴム製品輸送容器の金属化
日本ゼオン(株)
 合成ゴムの輸送容器については、森林保護などの観点から「金属製ボックスパレット」への切り替えを進めてきました。輸出向けは既に完了し、国内向けも2005年度から本格的に開始し、2010年度現在ではごく一部を除き、ほぼすべての輸送容器が金属製に切り替わっています。国内向けに出荷された「金属製ボックスパレット」については回収、補修した上でリユースしており、金属資源の有効活用にも取り組んでいます。2010年度は年間使用総数量の80%強にリユース品を用いました。