目次
RCを知っていますか?
発行にあたって
環境・安全に関する日化協基本方針
報告書2011のトピックス
RC委員会の運営
RC委員会活動計画と実施状況
環境保全(省エネルギー・地球温暖化防止対策)
環境保全(産業廃棄物削減)
環境保全(化学物質の排出削減)
保安防災
労働安全衛生(労働災害防止に向けた取り組み)
労働安全衛生(安全表彰・シンポジウム)
物流安全
環境・保安投資
会員のマネジメントシステム
化学品・製品安全
会員の社会対話
RC委員会の活動(社会との対話)
会員交流
国際活動
RC検証
RCに期待する
JRCC協議会会員
注文書

 
 
 
設備災害発生状況
 2010年度は2009年度に比べ設備災害発生件数およびRC委員会会員1社当たりの設備災害発生件数が増加しました。
 会員は引き続き保安防災を経営の中核として位置づけ、2002年度以降、保安防災投資額は増加を続けてきました。2010年度も793億円の投資を行いました(環境・保安投資 参照)。
 さらに日化協は事故情報や事故防止の取り組み事例の共有化をより詳細に行うために、日化協の会員各社で発生した事故について情報を集約して、対応について検討を行う等により類似災害の防止に努めています。
2009年度から設備災害発生件数を漏洩と爆発・火災に分けて表示
棒グラフ内下部の数字はデータ提出会社数
 
設備の事前評価と管理
 会員へのアンケート調査の結果、回答した会員の98%が設備の事前評価を行っています。さらに実施動機の88%は設備の新設、増設および改造が占めています。会員の多くがフロー図に示すように設計段階で安全性を検討した上で工事を行うようにしています。さらに工事が完了した段階で、設計段階で確認した安全性が確保されているかをチェックします。このように各段階でリスクアセスメントを行い、安全性を確認して設備災害の予防に努めています。
 
会員の自己評価
保安防災
方針、計画、コミュニケーション、点検監視など9項目の自己評価項目の総合評価
「十分満足」「ほぼ満足」が90%以上で維持できています。個別の項目では特にコミュニケーションの項目で「不満足」「やや不満足」が2009 年度の39%から46%と増加しており、地域との対話が重要と考えていると言えます。
 
大規模地震への対応について
 2011年3月に発生した東日本大震災では、東日本にある会員46社(53%)の一部工場において、建物や設備の被害や、地震感知による緊急停止装置の作動、停電やインフラ被害などによる一時的な操業停止などが発生しました。しかし、これまで行ってきた地震対応が確実に機能したこともあり、会員の工場から大規模な災害を発生させることはありませんでした。また、被災した各会員は、各社の総力を挙げた復旧活動により生産活動への影響を最小限にとどめることができました。
  震災後アンケート調査した結果(回答88社)、対策は十分であったと考える項目として多かったのは、地震を想定した防災訓練の実施、コンピュータやデータのバックアップ、および設備等の耐震診断と対策工事です。被災した会員が実際に役立ったと判断している対策は、地震を想定した防災訓練の実施(74%)や設備等の耐震診断と対策工事(57%)です。また、従業員の水・食料の確保が役立ったとの回答も多くありました。一方で、いくつかの項目でまだ対策が不十分であることが浮き彫りになりました。
  今後見直すべき対策として会員が特に重要と考えているものは、社内外の通信・連絡手段の確保、地震防災規定類の整備改訂、および津波を想定した防災訓練の実施などであり、各企業で今後とも着実に対策を進めていきます。
 
東日本大震災への対応事例

三菱化学(株)
 3月11 日の東日本大震災で鹿島地区は震度6弱を記録、三菱化学(株)鹿島事業所ではこれまでの対策が有効に機能して地震と同時に安全装置が自動的に作動し、全プラントが安全に停止しました。また、設備は耐震設計がされており、製造プラントに大きな被害はありませんでした。一方、桟橋は津波により浸水し、配管の変形、護岸の損傷などの被害が生じましたが、可燃物の漏洩を含め保安事故、労災の発生はなく安全に対処することができました。
 地震と同時に事業所防災本部を設置し、情報収集、各関係者との調整、指示を行うとともに、復旧にあたっては、本社防災本部、関係行政とも連携を取り、安全確保に必要な工業用水、電力、窒素などのユーティリティーの確保を最優先で行いました。そして設備の検査と補修、コンビナート一体となっての復旧計画の実行、再稼動前の安全確認を徹底的に行いました。その結果、早期に生産を再開することができ、製品のサプライチェーンへの影響を最小限に止めることができました。今回の震災の経験と教訓は、今後の保安・防災レベルの一層の向上に反映させていきます。